成功の鍵?経営者の「ネガティブ思考」に寄り添うノンフィクション映画5選
この世に心配事の無い経営者なんていません。それをグッッッッッッ…と飲み込み、景気良く振る舞うことで社員の士気を上げ、業績アップに喜ぶ若手社員にインセンティブを贈与しながら自分は既に数年先のために頭をフル回転させて……ああ、疲れますね。
この経営者のネガティブ思考が報われる時は来るのでしょうか?理屈でどうにもならない時、お酒以外でこの気持ちに寄り添ってくれる“何か”は無いのでしょうか?今日はそんなお話をしようと思います。
「海外と比較して日本はネガティブ思考ばかり」は嘘!
内閣府が2014年に諸外国の若者における意識調査を行ったところ、日本人の若者は他の国よりもネガティブシンキングという結果が出ており、「やっぱりそうなんだ」という声も多く上がりました。一方で、2015年にアメリカのリサーチ企業が行った調査では「日本のポジティブな人の割合は66%」という結果が出ました。半数以上がポジティブなのです。
というわけで、「ネガティブなのは国民性だからさ…」という考えはココで捨てちゃいましょう。
(参考:GALLUP)
https://news.gallup.com/poll/182009/mood-world-upbeat-international-happiness-day.aspx
役立たずの「ネガティブ」と成功する「ネガティブ」の違い
ポジティブ思考とネガティブ思考をビジネスの能力値として比較する場面は多いですよね。心理学からネガティブ思考を見た場合、以下のような能力値が高いと言われています。
① 記憶力が向上する
確かにネガティブな人って「あの時あんなこと言ったよね…」とか、よく覚えてますよね。
② 本質を見る能力が高い
見た目が良いものは、中身(能力)も優れていると思いこむ心理をハロー効果と言います。それを避けやすいということです。
③ プレゼン能力が上がる
ポジティブな時よりネガティブな時の方が、考える力が飛躍し訴求力の高い言葉選びができると言われています。
他にも、悪い面ばかりに目が行くことからソリューションに積極的になるという意見もあります。ビジネスに置き換えてもメリットとなりそうな項目ばかりですが、逆をいえばこうしたメリットを実感できていないようであれば、そのネガティブ思考はあなたにとって「毒」となっている状態だと言えますね。
ネガティブかポジティブか、経営者はどっちが成功する?
人柄や実績などの付加価値を除き、ネガティブ100%、ポジティブ100%のどちらが成功に近いかとなると正直大差はありません。先ほども触れたように、ネガティブ思考とポジティブ思考は能力の一要素でしか無いためです。
どちらかというと、成功に近づくのはその「割合」や「補い方」が鍵でしょう。実際、幸福学研究をしているディーナー博士は、理想の割合を「ポジティブ:ネガティブ=8:2」と提示しています。
- ポジティブ思考を取り入れるよう意識する
- 近しい部下にポジティブ思考を担ってもらう
ネガティブ成功者の道のりはもちろん辛い!だから…
ネガティブ思考との折り合いが付かない時は、人と話しても飲んでも気持ちが晴れにくいもので、そんな時は無理に人と過ごして精神を摩耗させるよりも一人の時間を作るべきです。
一人の時間で何をするか、そうなった時に多くの人が思い浮かべるのは映画でしょう。ネガティブな気分に寄り添い、心地よく突き放してくれるサクセスストーリーを5つご紹介します。
ネガティブ経営者のタイプ別にオススメな映画
「調子に乗りすぎたから反省したい」ネガティブ経営者には……
※画像はイメージです
「ウルフ・オブ・ウォールストリート(2018)」をオススメします。
金、ドラッグ、セックス、最高!というシーンで始まるこの映画は、どちらかというと派手な生活に憧れる人に向いてます。じゃないと初っ端から女性のお尻でドラッグをすってたりするので、気持ちが置いてかれます。学歴もなく人脈もないジョーダン・ベルフォート(実在する人物なので驚きです)が成功してからいかにクレイジーな日々を過ごしていたか、そしてどう破滅するか?実在のモデルがいる映画には珍しくクサイ演出も多いアップテンポな構成なので、暗くなりすぎず楽しめるはずです。(クサイ演出をブルゾンちえみが気に入って再現していました)
「罪悪感で死にそう」なネガティブ経営者には……
「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016)」をオススメします。
何に罪悪感を感じているのかはしりませんが、この主人公に比べれば多分大丈夫です。とは言え、この映画の主人公はあのマクドナルド創業者レイ・クロックなので学ぶことも多いはずなのですが、後味の悪さが半端ないです。映画自体は“本当の”マクドナルドの生みの親である兄弟に気持ちが入りそうになる演出で、多くの方は主人公が嫌いになると思います。しかし、経営者がみると(やっぱり兄弟に気持ちが行くのは同じですが)その過程や結論に思うところがある方も多いようです。結果がすべてというのならこの罪悪感を飲み込むしかないのでしょう。
「元体育会系で部下達との距離が悲しい」ネガティブ経営者には……
「コーチ・カーター(2005)」がオススメです。
そもそも経営者の話ではないことも含めて、今回の5選の中では、ずば抜けてビジネス感の無いストーリーではありますが、ド定番は最大の癒しです。部下達から伝わるイヤイヤ感に傷ついているのなら、なおさらスポーツのヒューマンドラマものが沁みます。意外性などはありませんが、実在するバスケットコーチの話なので、社会問題など様々な要因から生徒との距離が縮まりにくい点はとてもリアルです。バスケットの成績だけでなく学業にも専念させることを重視する(当人どころか保護者からも反感を買います)など、人に指導する上で明確なポリシーがある点などは、人の上に立つ経営者にとって響くポイントでもあるのではないでしょうか。
「とにかく今日は暗く静かに過ごしたい」ネガティブ経営者には……
※画像はイメージです
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(2011年)」をオススメします。
イギリス初の女性首相サッチャーは、良くも悪くも世界を揺さぶった人物です。現実に認知症を患い表舞台に全く顔を出さないサッチャーが、亡くなった夫の幻と暮らしながら過去を回想する話ですが……よくこんなに周りを突き放せたなと思います。正直物悲しい映画ではありますが、たった一人の理解者に依存しつつ奮闘するオンオフの姿に共感する経営者は多いのでは。また、当選のために喋り方を変えるシーンなど、多くの人を動かす人格を作る過程は見応えがあります。
「挫折から這い上がりたい」ネガティブ経営者には……
「マネーボール(2011)」がオススメです。
見所はタイトル通り、業界に新しい考え方(マネーボール)を定着させた功績です。この戦略自体が現在でも有用かは別として、従来の分析手法を覆す視点には気持ちいいものがあります。弱小球団を育てるべくやる気に満ちているGMビリー・ビーンは、時に良い選手を引き抜かれたりなど障害も多いのですが、経済学を学んだ人の知見を取り入れるなど、逆境をその吸収力とフットワークで打開する点には脱帽です。チームの再建ものとしても見応えがあるので、組織構成や評価基準に疑問をもった時に見るのも良いかもしれませんね。
まとめ
映画を見るメリットの1つは、他者に感情移入することです。一人でぐるぐると考え込んでいてもネガティブ思考が進むだけですが、映画を見ている間は成功者として苦悩しているわけです。成功者の思考トレーニングとして、ただただ気分転換として、映画のストーリーに没頭してみてください。