一風堂ラーメンの河原成美社長の言葉で、私が好きな言葉があるんですけど、 「変わらない為に、変わり続ける」三軒茶屋BAR CIELO(バーチェロ)オーナー 稗田 浩之 様

三軒茶屋の秘密基地BAR CIELO(バーチェロ)

3Fのオーセンティックバーではギムレットなどのスタンダードカクテルは勿論、

季節のフレッシュフルーツカクテルを提供している。

ハードリカーの柱はモルトウイスキー、BAR CIELOでは約300種のウィスキーを用意。

スタンダードなマッカラン、ラフロイグや80年代に流通していた今や貴重なオールドボトル、スコットランドやドイツ、イタリアのボトラーズからリリースされた30年、40年熟成の素晴らしいウィスキーをお楽しみください。イタリアンバールも下層フロアにて営業。

 

 

◆どの様な事業をされているのですか?

東京・三軒茶屋にて、BAR CIELO (バーチェロ)というオーセンティックバーを経営しております。お客様をおもてなしする、お客様に楽しんで頂いて良い時間を過ごして頂くという事が仕事です。美味しいカクテルを作る事もそうですし、お客様に合った商品を提案して行く、自分の引出しから出す会話でお客様との関係値を築いて行くという事もバーの仕事です。お客様が居心地の良い空間を作る事、そしてお客様にとって何が居心地良いのかという事を察知して行く事が非常に重要な仕事です。ただお酒が美味しければ良いというお客様もいらっしゃいますし、会話を楽しみにしていらっしゃるお客様もいます。他のバーとの差別化は、三軒茶屋という割とカジュアルな街の中で、唯一かほとんど無いくらいに、お客様と一定の距離感を持ったカチッとしたバーが三軒茶屋BAR CIELOです。ウィスキーはビンテージものも多く、主にヨーロッパから仕入れる。仕入れにはヨーロッパや南米など、海外へ直接行き、自力で探してきたものを仕入れるという稗田オーナーの拘りがある。南米からはラム酒やテキーラなどを仕入れるケースが多い。

あくまでもマイノリティ(少数派)でやっていきたいんですよ。
どこ行ってもある商品とかではなく、ありきたりではない事をやり続けたい。

ウィスキーもカクテルも大好きですね。好きでないと出来ないですね。カクテルとウィスキーは好きだからこそ、それなりの自信は持ちながらバー経営させて頂いていますね。

◆人は、挑戦したり意思決定する時に、迷うと思うのですが、稗田オーナーはどの様に意思決定して行くのですか?

まず、前提は周りの人に迷惑をかけない事。自分の意思決定に於いて、マイナスの事を考えた時に、他人に迷惑を掛けずに自分だけで収まる事なのかどうかを軸に考えます。例えば、経営でも自分だけごはんが食べられないとしても、スタッフには食べさせてあげないといけませんし、その気概でやっています。私は20歳からバーでの独立起業を考えていて、実際に28歳で独立しました。

実現できた事の理由は、独立したいという気持ちが人一倍大きかったからです。
20代は、その為だけに時間とお金も考える事も全てを費やして来ました。
逆に言うと、それ以外の事をやらなかったという事ですね。

それ以外の事をやらなかったとも言えますし、逆に出来なかったとも言えますが。バー業態は、すごく簡単に出店できる業態だと思います。マンパワーで出来て、人柄が良ければある程度は流行る可能性が高いです。ガールズバーやスポーツバーなどの様に、すぐ出来るからこそリスクも高いですけどね。薄利多売の業態ですから、続けてなんぼ。一発ドカーンみたいのはあまりないですね。経験を蓄積しないと継続が難しい業態でもありますよね。

◆バー業界の問題だと感じている事を教えて下さい。

20歳代の若い人のお酒離れが非常に悩ましい問題ですね(笑)三軒茶屋BAR CIELOの様なオーセンティックなバーは、クオリティの高いものを求める人によって成り立っています。お客様のお支払頂く単価も平均以上ですし、少々Pay(お支払い)しても満足頂けるサービスを提供しています。

今、カジュアル志向時代で、時代とは真逆とまでは言わないが、少々ずれた事をやっていると思っているんですね。そこに共感して頂ける方がBAR CIELOのお客様です。

良いサービスと良い空間は、その場にいらっしゃるお客様と店側で創り出して行く部分が多くですね、その中でまぁ8割くらいはお客様の雰囲気が影響して来ますね。それなりに良いお代を頂戴しているわけですから、空気を乱されるお客様がいらっしゃるとすれば、プライスの価値が下がるという事ですね。BAR CIELOはパブリックな場所ですから、周りの人が心地良い状態を常にキープしたいんです。邪魔するつもりはなくても、TPOをわきまえて頂いて、お客様全員がオーセンティックなバー空間創りに協力して頂きたいです。ただ残念ながら、ご理解を頂けないお客様も増えて来ている事が現状で、そこはちょっとご理解頂きたいと思います。逆に、お店側もそういったお客様を受け入れる、言わない方が普通だと思うんですけど、BAR CIELOでは、曲げてはいけない所は曲げないでやらせて頂いていますね。

本当に愛してくれているお客様をがっかりさせたくないですよね。

バー業界をやりたいと思ったのは、単純に格好良かったという事です。20歳そこそこの頃、若いなりでの格好良いという感覚で、バー業界をやりたいと決意しました。当時、私の親は賛成しなかったんです。ただ、「人様だけには迷惑を掛けるな。その覚悟があるなら、頑張って来い」と言われ、その記憶は覚えていますね。年月が経てば経つほど、仲間が増えれば増えるほど、その親の一言は実感として意味が理解出来て来た気がしますね。もともとバー業界には、憧れから入っているので、勿論、この業界が好きだから続けて来れた、という事はあります。最初の10年は修行でしたね。その後は、もう逃げられない。やるしかないという感じでしょうか(笑)自分だけの判断だけでは出来なくなって来た、という感じです。

これからもBAR CIELOは、常にチャレンジして行きたいですね。日々、同じ事の繰り返しは面白くないので。

バー業界で働いている人は、内心は自分でお店を持ってやりたいと思って働いている人が多いです。BAR CIELOからも独立して行ったスタッフは居ますが、それは嬉しいですよね。

独立して自分で店を持つ様なスタッフは、一緒に働いていたらわかります。意気込みが全然違いますね。

バーをやるなら、最低でも500万円のキャッシュが必要で、中古のポルシェをローン組んで買う様なものですが、その借金背負う勇気がないと厳しいですよね。人は背負った分だけ伸びるタイプと、逆に伸びないタイプが居ます。バーを自分でやりたい人に、20歳代であれば、やってみろよと言ってあげられますが、30歳代にやれよとはなかなか言いづらいですね。もう40歳代は、やめとけよ、となります。事業を継続して行くには、どん底に落ちた時に諦めない気概が必要です。浮上してやるという気持ち。例えばサーフィンやっていて、波に巻かれた時に、どれだけ戻れるか、みたいな感じですよね(笑) 特に飲食店は独立したら苦しい事が多いですから。どうして今まで続けて来れたかと言うと、マンネリしなかったからでしょう。

お客様を飽きさせない努力を常にしていた。

常に海外にも仕入れで行っています。一風堂ラーメンの河原成美社長の言葉で、私が好きな言葉があるんですけど、

「変わらない為に、変わり続ける」

という言葉です。変わらないようにするためには、変えて行かないと向上しない、常に新しい事にチャレンジして行く。変わり続けなければいけないですね。一風堂ラーメンの河原社長の言葉は糧になっています。

◆読者の方にメッセージお願いします。

是非、三軒茶屋BAR CIELOで、バーの世界観を感じて頂きたいです。敷居が高いと言われる業界ですが、その高いものをまたいで、是非、成長して頂きたいと思います。いつもと違う世界観を感じて頂く事で、刺激があると思いますし、考えさせられる事もあると思います。例えば、モスコミュール一個取っても違いがあると思います。成人の8割はお酒飲む習慣があると言われる中で、バー、特に三軒茶屋BAR CIELOの様なオーセンティックなバーにいらっしゃる方の割合は5%くらいと見ています。8割の中の5%。居酒屋には行った事があっても、オーセンティックなバーは意外に経験が少ないと言われています。敷居が高いイメージや、値段が高そう、行っても何して良いかわからないという事がなかなか現代においてメジャーになっていかない理由なのですが、どんなものなのか、とりあえず行ってみようくらいの気持ちで良いと思います。世の中の成功者。三軒茶屋BAR CIELOにいらっしゃるお客様は、ほとんどの人が、平均以上の成功者です。成功していないと、飲みに行けないわけですよ。

成功したから、オーセンティックなバーに来れるのか、こういう所に居たから成功したのか。どっちかですね。

とにかく、アンテナ張ってバーに行く事をお勧めします。冗談抜きで、成功したかったらバーに行く、そういう見方もあると思っていますね。例えば、どこで出会った方で、良い服着ている人がいたら、調べてみる。良い車が通ったら、調べてみる。やはり良いものを味合わないと、良い仕事出来ないと思いますよね。

スポーツ界でも野村克也元監督を尊敬しているんですけど、私が好きな語録あるんですよ。

伸びる人間は野球選手であれ一般人であれ、共通している。

感性が鋭く、問題意識や明確な目標を持ち、努力する事を厭わない人間である。

私がバー業界での独立が28歳と平均より早かったのは、時間とお金を全て独立に費やしたからです。そこだけに集中した事です。良いバーテンダーに共通している事が実はあるんですけど、禿げている、痩せている(笑)結構、これは本当で、それだけお客様に気を遣っていて繊細だという意味なのでしょう。

実るほど、頭を垂れる稲穂かな。チェロのコンセプトでもあります。うまくいけばいくほど、謙虚になる。それは、

ステージが上って来ると、お礼とお詫びの回数が必然と増えて来るからだと思います。

私は、26歳で家がなくて野宿していた時期が4ヶ月ありましたし。27-32歳まで、風呂なし世田谷区駒沢あたりで4畳半の家に住んでいました。その後は、結婚して一軒家の賃貸に住んだりしたのですが、かなりストイックにやり込んでいましたね。そのくらいの気合いがないと、お店なんて出来ないですし、逆にそういう気持ちがあるなら、独立を勧めますね。私の周りも、みんなそうやって頑張っていますから。