【海外と国内で違う?】立って働く “スタンディングワーク”が欧米でスマートだと言われるワケ

社員を立ったままで働かせる? それが社員のためになる?
ここだけ聞けば恐ろしいブラック企業の新提案かと思いますが、どうも国内外で実際に広がっているワークスタイルだそうです。ニュースでも多く取り上げられているので、耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
今回は“スタンディングワーク”が注目されている理由、また導入事例などをご紹介していきます。

 

国内外で比較!スタンディングワークの普及率

スタンディングワークとは、PC作業などのデスクワークを〝正しいスタンディング(立ち姿勢)で行うこと‘’をいいます。近年、北欧から始まりアメリカ、日本へと徐々に普及してきているワークスタイルのことです。
北欧で一般化しつつあるスタンディングワークは近年アメリカでも増えてきており、実は日本でも徐々に導入が始まっています。

 

海外のスタンディングワークの導入事例

具体的な導入企業として国外では、Google、Facebookなどアメリカにある企業が有名です。

 

日本国内のスタンディングワークの導入事例

国内でも楽天がスタンディングワークを取り入れたことが話題となりましたが、教育の現場でも東京大学大学院など、多数の有名大学が取り入れ始め普及しつつあるようです。

 

スタンディングワークのメリットは「健康」と「生産性」

立ったまま仕事をすることが社員の健康管理になる……本来座って行うデスクワークが主流なぶん、いまいちピンときませんよね。この点については、2010年のアメリカの調査で「6時間以上座り続ける人と3時間未満の人の死亡率を比較した結果、女子で34%、男子で17%死亡率が少ない」というデータが出ています。2013年には同じくアメリカで「座りっぱなしは喫煙と同じくらい危険」という主張の記事や書籍が数多く発表されました。
死亡率というワードが唐突ではありますが、同じ姿勢で長時間座ることで血液循環が鈍くなるなど、健康面に何らかの悪影響を与えているということでしょう。実際の体験談では、慢性的な肩こりや下半身の倦怠感が改善されたというものもあります。

もう1つ、スタンディングワークによって仕事の生産性が上がるという声も散見されます。
立ったままの姿勢なので眠気に襲われにくくなる、(座って)休憩するまでの集中力が上がる、といった変化を感じる人が多いようです。ダラダラとSNSをチェックしたりなど、午前中を無駄にするような働き方は生産効率を下げると言われていますが、スタンディングワーク導入で朝からしっかり社員のエンジンをかけられるといったところでしょうか。

 

スタンディングワークのデメリットは「導入コスト」と「慣れるまでの違和感」

デメリットとして、慣れるまでは逆に生産性を落とす可能性がある点が挙げられています。
当然ながら長年デスクワークのみだった社員は足腰が疲れますし、立って仕事をする状態に慣れずソワソワしてしまう人も出てくることでしょう。長時間正しい姿勢状態で作業できるはずもないので、少なからず体に負担がかかり疲れます。そのため適度な細かい休憩や、ストレッチをいれながら作業を進めることを推奨しています。

疲れすぎると作業効率が悪くなるので、ただスタンディングさせればいいと言う問題でもありません。
座位との併用や休憩時間の工夫も必要になりますし、各企業は昇降デスクなどを取り入れ座位とスタンディングをうまく使い分ける方法を模索しています。

また、スタンディングワークとデスクワークの併用のために上下昇降デスクの導入が必須となりますが、これが企業規模によってはかなりのコストとなります。手動で上下させるもの、PCの高さを変える台を既存のデスクに取り付けるものなどなら大体1〜3万ほど。デスクの上下を自動化したい場合は10万以上の価格となってくるので、「ちょっと試してみる」というのは難しいのも現状です。

 

失敗しにくいスタンディングワークの導入アイディア

日本国内では勢いのあるベンチャー企業などではスタンディングワークを見かけることが増えてきましたが、いざ自社に導入するとなると工夫が必要です。というのも、導入の仕方を失敗すると社員にスタンディングワークのメリットが伝わらず、定着しないままコストだけかかるような結果になってしまうからです。「メリットの体感」「コスト」この2点から、初のスタンディングワーク導入アイディアをいくつかご紹介します。

 

スタンディングワーク導入アイディア①「まずは会議で導入、がベター」

スタンディングワークと会議の相性は抜群です。まず複数人で1つのデスクを利用するので昇降デスクを購入する必要がなく、思い立ったら即試すことができます。

また、会議は社員にスタンディングワークのメリットを伝えやすいシーンでもあります。会議に対する社員の本音は「長い」「眠い」「だるい」あたりですが、スタンディングの場合は集中力が高いぶん進行が早くなりますし、眠くなって話が頭に入ってこないといった状態がなくなります。席を立つタイミングをお互いに見計らう微妙な空気も無くなり、最後の雑談が必要以上に長くなることもなく、何かとメリットを感じやすいのです。メリットを体感してもらう機会を作ることで、突然全員にスタンディングワークを強制する際の摩擦を避けることができるのも良い点です。

 

スタンディングワーク導入アイディア②「ブースを作ってお試し期間を」

デスクの性能確認も兼ねて、1つだけスタンディングワークのブースを作ってみる方法もオススメです。特に複数部署での導入を考えている場合は、各業務とスタンディングワークとの相性を確かめる期間も必要です。というのも、やはり生産効率が上げにくい業務も存在するからです。例えば、資料作成やコーディングといったアウトプットの作業はスタンディングワークで効率が上がるケースが多いのですが、資料の確認や校閲といったアプトプット寄りの作業は立ち姿勢だと集中できないケースもあるからです。

 

スタンディングワーク導入アイディア③「メリットは付加していこう」

そもそも社員がスタンディングワークに対して消極的であれば、導入後の利用もあまり定着しないはずです。全員とまではいかなくても、積極的な社員を増やすことは導入を発案した人の仕事でもあります。社内の打ち合わせがしやすいブースとして利用させる、ウォーターサーバーの近くに設置するなど、社員が使いたくなるものにする工夫をして見るのも良いでしょう。

 


 

まとめ

近年のワークスタイルは日々進化し、無駄がなく、短い時間で考えて結果を出すことが大切にされています。体を動かす機会が著しく減ってきているPC社会で、デスクワークの健康被害にどのようにアプローチしていくかが課題となっているのも事実です。
働き方を改善したいが、何から始めればいいのかわからない!という方は、スタンディングワークの導入で社内に変化をもたらすのも1つの方法です。何事も試していなければ、結果を得ることもありません!