海外も日本も同じ?「経営者は孤独だ」と感じる3つの瞬間

企業のトップは、実に孤独である……。
決まり文句のように出てくる「孤独」という言葉ですが、逆に企業風土の異なる海外の場合はどうなのでしょうか?日本同様に孤独なのか、あるいはそうでないのか。海外の経営者の自伝を元に、日本と海外の経営者の「孤独」を比較していきます!

 

日本と海外、共通して経営者は「孤独」を感じている

国の内外を問わず、企業の経営者は「孤独」を感じるシーンは多いものです。それは国内外の各企業の経営者の自伝を読むと一目瞭然で、必ず「孤独」について言及していることが伺えます。
例えば、マクドナルドの創業者である、レイ・クロックは自伝でも自身の孤独について語っており、文中にも起業から最後まで共にした右腕のような人物は存在しませんでした。創業者と呼ばれているものの、実際はマクドナルド兄弟の存在があり、その兄弟との関係性を描いた映画ファウンダーが公開されたこともあって、このサクセスストーリーは好き嫌いが分かれます。とはいえ、レイ・クロックに影響を受けた人物として、孫正義などや柳井正といったビッグネームが出てくるのも事実。
日本の場合、本田宗一郎と藤沢武夫の本多技研、井深大と盛田昭夫のソニーのようなコンビがいますが、アメリカではスティーブ・ジョブスとスティーブ・ウォズニアック(アップル)も途中で袂を分かっていますし、古くはドイツのルドルフとアドルフのダスラー兄弟ですら、肉親でありながらケンカをして企業が分裂しています(アディダスとプーマ)。
しかし、レイ・クロックも「同じ意見を言う役員は二人も要らない」ということを言っていますから、孤独であるということは企業を発展させるうえで必要なのかもしれません。

 

孤独と感じる瞬間①また人が去っていく…企業の人材の流動性を感じる時

企業を発展させるうえで孤独は避けられないもの……それを強く感じるのは、スタートアップ時のメンバーと別れる瞬間です。企業の規模が大きくなれば、あるいは企業の主な収益を上げる業種が変われば必要とする人材も変わってきます。そうなると、時に外部から登用し、時に苦楽を共にしたスタートアップ時のメンバーを切り離さなければいけません。

ある程度の規模の企業であれば、スタートップ時からいた人材も再雇用が容易な場合も多いですから、喜んで退職していくケースもあることでしょうし、逆にそれが紛争のきっかけとなることもあります。
日本の場合は、解雇が難しいのでそういった瞬間は比較的少ないかもしれませんが、海外の場合は人材の流動性がより激しい(その人材が今日は同僚でも、次の週からライバル企業にいるということも珍しくない)ので、特に顕著です。
しかし、そういった非情な決断をしなければいけない時と言うのは企業が成長する過程で必ずやってくるのです。そう言った時に経営者は強い孤独感を得るはずです。この苦悩を一体誰に吐き出せばいいのでしょう?

 

孤独と感じる瞬間②嬉しさと寂しさと。事業展開する範囲の広さ、距離の遠さを感じる時

事業を拡大していくと、最初は地方のみであっても、徐々に県内に営業エリアが広がり、東京進出や地方に展開するタイミングが訪れます。海外企業だと別の州だったり、あるいは隣国だったりなどに展開し、多国籍企業化していくケースも珍しくありません。
そんな時、自分に近いメンバーをテコ入れで地方や東京、あるいはは国外へ派遣しなければいけなくなる時が来ます。そう言った時、なんでも話せる人間が身近にいなくなり、孤独さを感じるのではないでしょうか。信頼しているから任せられる一方で、信頼する人物を側に置いておけないジレンマが発生するのです……。

事業の規模が地方から全国、そして世界へと大きくなるというのは経営者にとって無上の喜びである反面、経営者の孤独をより強めていくことになります。

 

孤独と感じる瞬間③飲みいかないの?仕事とプライベートの区別がつけられていると感じる時

海外では特にシビアなのが、仕事とプライベートの区別がつけられている点です。日本だと、同僚や上司との付き合いでゴルフやレジャーに行ったりしますが、海外だとそういったことは稀です。
部下からの休日の電話でも日本だと渋々受けて対処しますが、海外だと公人としての自分はいない、私人としての自分に対して電話をするな、ということがよくあります。
さらに逆のパターンでも部下が渋々受けてくれる休日の電話も、海外では決して受けてくれません。
ただ、外資系の進出もあり日本でも同様の傾向が強まっているので、日本の経営者も、より孤独を感じる瞬間が増えてきました。自身が同僚や上司と当然のように行ってきたコミュニケーションを、部下に断られるシーンなども増えていくことでしょう。
つまり、休日ともなれば、良好な関係の家族がいなければ、あるいは趣味の仲間がいなければ、経営者は非常に孤独を感じます。

 


 

まとめ

経営者は、自分の会社で利益を上げることが一番の使命となります。そのため、時に非情な決断を行ったり、相談できる人間を遠くへ配置せざるを得なくなったり、休日話す人間がいない場合すらあります。
そんな時にどのようにしてネガティブな感情をかわしていくか?趣味を充実させるか、気のおけない存在を大切にするか?その方法を考えておくことも、会社を担う経営者には重要なのかもしれません……。